2021.04.30
鹿児島空港▶霧島
準備
”旅に連れてって”
どこぞの某鉄道会社の冬のキャッチフレーズのように僕を呼んでいたのは一年ともに世界を走った相棒、そらである。
海外専用機として世界一周やネパールを共にした相棒だったが、どうも人間の中が居心地が良すぎるのか、なかなかお亡くなりあそばされないコロナ様達のお陰で、街乗り専用機と化していた。
”僕も旅がしたい!!”
と訴えかけてきたそらと、最近やりたいツーリング形態である、「キャンプして本を読みながらダラダラする」という荷物全マシチャリ移動を一切考えていない形態はマッチしていると思った。
というわけで、街乗りですり減ったブレーキを交換し、ピカピカにして差しあげて九州に連れてきた次第だ。
そらに日本を見せてやろう!
幸いなことに、国内の魅力もりもりでコロナ様の巣窟となり得る場所はほぼ制覇してしまったので、旅をしていない場所は誰に聞いても
う〜ん、なにもないよ、、?
と言われるような場所だけだった。
今回は、九州東海岸を北上していこうと思う
出発
結局のところ、大移動は自転車の大型荷物料金を入れたとしても、LCCが1番安い。
絶対に東京に入るものかという強い意志を感じるようなルートで大宮、松戸と成田を目指す。
荷物多すぎ
何故
輪行は重いと辛い
という、旅歴三日の人間でも気づくようなことを考慮しなかったのか。
肩がひきちぎれそうになりながらホームを引き摺って歩く。ここで東松戸にて黙ってエレベーターの開くボタンを推し続けてくれたオシャレな大学生らしき男子に危うく惚れかけたことを記しておく。
これができる男のエスコートか、、!
油断大敵
LCCの発着は朝早くが多い。手配する費用が安いからだろう。
新幹線を一本おくらせただけあって、時間に余裕があったため、駅で飛行機用の輪行を済ませた僕は、飛行機輪行の経験値も相まって、用意してきた本を一晩で読み切ってしまうほどには余裕ぶっこいていた。
今すぐこの時の自分を引っぱたきたい。
①寝袋出せない
飛行場に前日着。つまり一晩空港で明かす。
のにも関わらず、マットと寝袋は、愛しのちゃりを優しく包み込み、そらを安眠へ誘っている。
”ったくしょうがない寝袋たちだな、、”
35kgの装備を持ちながら、硬い床と机で一晩を明かす羽目になった。
②4000円の重み
飛行機の荷物には、機内にもちこめる荷物と、機内に持ち込めない受託荷物の二種類があり、どちらも大きさと重さの制限がある。
自転車旅人にとって鬼門は自転車を預ける受託荷物の方であり、最終確認で中身を手荷物と入れ替えて重さ調整をする
海外旅の時もおもっていたが、この受託荷物の重量制限に合わせてパッキングする能力や重量感は天才の域に達していると思う。
”自転車輪行受託荷物世界選手権”があれば、優勝候補筆頭として名を馳せていたことだろう
ここを通過するとプレッシャーから解放され、あとは目的地に向かうだけ、という気分になりがち。
例に漏れることなく、浮かれて本屋で次読む本を選んでいたくらいだ
”手荷物重量オーバーで4000円頂きます”
浮かれまくってた僕の耳に飛び込んできたのは、”追加料金4000円☆”という、財布に一抹の陰りがある金欠大学生にクリティカルヒットする単語だった。
魔法カード発動!と言わんばかりにクレカを切り、来月の自分にエールを送ることでこの場をしのぎきった
ふぅ、あぶないあぶない
③さらば十徳ナイフ
この旅で試したいふたつの新装備があった。うち一つが、アルコールストーブである。
当然燃料はアルコールであり、これを飛行機に持ち込むのは初めて。
アウトドアで多用されるOd缶は受託荷物にすら入れられないが、調べてみるとこのアルコール燃料は持ち込めるらしい。
新!アルコール燃料の荷物検査突破に細心の注意を払ってパッキングし、いざ検査!
ビーー
”刃物は持ち込めまSEN☆☆☆”
うん、当たり前だよね?
アルコールに気を取られ、それだけに注意しパッキングしたところ、持ち込み禁止荷物有名度ランキングで堂々一位に名を馳せるナイフの存在をすっかり忘れていた。
本屋で余裕ぶっこいていたせいもあり、郵送する時間もない。世界を共に旅したナイフとこんな形でお別れすることになってしまった。
北海道行きの飛行機で同期Oが手荷物にナイフを持ち込み処分されていて、バカにしたことを思い出す。
彼に他人の失敗を全く活かさないこのドアホを、今すぐおもいっきり罵倒し罵ってもらいたい
ついてない、というか不注意を重ねに重ねての出発となった。
飛行機の窓から眺める富士山は綺麗だ、と綺麗な締めくくりにすることで全ての醜態を忘れていただく作戦で締めたいと思う