一般人にとっては雪など無縁の産物になった五月末。
山を滑走したがりなお山スキーヤー達ですらシーズンアウトとするこの時期に、著者もシーズンアウトと称して白馬岳の大雪渓を滑走してきた
猿倉山荘
登山口。登山届を提出し、ここから白馬尻小屋まで林道を進む。
もちろん雪はなく、板は担いだままだ。
ハイクアップ(板を足に装着し斜面を昇ること)で登れる二月三月のBCがいかに楽だったか理解した
大雪渓~ハイクアップ~
雪渓までは一時間。夏と違い小屋の下まで雪があるため、早くハイクアップを始めることが出来た。
序盤は楽だが、中盤はデブリの跡・崩落した岩が点在し少し歩きにくかった。
夏道は雪に埋まっているため、白馬山荘稜線直下のカールの急登を昇る。
シールの摩擦で登れる斜度では無いので再び担ぎ。
晴れ予報だったのだが、ガスが降りてきており、視界不良での滑走を避けるため。またブロック雪崩の危険性もあったためガス直前の急登中盤で滑走することにした
滑走
久々のテレマークで上手く身体が動かなかった。でも気持ちいいいいいいーーー
のちのち知り合いがこの日に同じルートで昇っていたことが判明した。
両線まで出たが風が強すぎたらしい。
しかしその道の滑走は雪質がかなり良かったらしい。知らぬが仏とはまさにこのこと。
昼飯
雪渓の下部につけばあとはもう森の中を板担いでくだるだけ。
だるい。
登山で最も好まないものランキング堂々の第1位は「ピストンの下り」景色が同じで、大抵午後の方がガスっていたりで天気が悪いから。
そんな先のことは考えず、とりあえず下に降りてきてついでに顔を出した太陽さんを拝みながら昼飯。
最近さらに山飯にこだわり出した著者の今回のチャレンジは「コンビニ山飯」
ロコモコ丼を作ろうとしたら卵を買い忘れた。ただのハンバーグ丼。
「卵ひとつ75円かよ…」
と、自炊しすぎて近所の全三種類のスーパーの主要食材の食材値段ランキングを脳内インプットしてしまった著者からすると「ダチョウの卵ですか?」とお伺いしたくなるような卵を買うことは渋ってしまうのも無理はない。
今度はある程度の食材は家から持ってこよう…
板の川流し
昼飯後、気づいたら板がなかった
は?と思ったが、下を見ると片っぽは置いたはずの場所の斜面少し下で止まっていた。
しかしもうひとつは見つからない。
下は斜面。見下ろすと一部穴が空いており、穴の2mほど下に滝。
「ははは」と語彙力が完全に消滅した状態で潤いのない単語を力なく発することしか出来なかった。
転落覚悟で穴を覗き込んだが無い。
髪にも縋る思いでその斜面の終わる場所まで走って下ると…
スキー板が川にぶっ刺さって止まっていた
穴に落ちたが、運良く雪渓下部を通過してここまで来たのか、はたまた雪渓を昇る滑ってここに落ちたのかは分からないが、相棒が居なくならなくて本当に良かった…
板を置く場所と周囲に気を配ることは忘れないようにしよう。
…それにしても、テレマークにもストッパーつけたいと強く思った。
下山
下山の時には青空が見えていた。山頂はガスがかかったままだったが、行きよりも景色がいいことなんて珍しく、楽しく下山できた
下山中日本テレマーク協会理事長さんと出会い、なんやかんやあって来シーズン理事長さんから滑りを教えて頂けることになりました。
まじで嬉しい。こんなことあるんだね〜
今日でBCもシーズンアウト。
最後に板やブーツにお礼を言いながら川で洗い、下山しましたとさ。