きっかけ
五月某日。
夏休みの過ごし方もうっすらとアイディアはあるものの、直前に内容を詰めてしまう派故に特に深くは考えていなかった僕に、彼女がインスタを見せながら話しかけてきた
ここにいきたい!
そう。
数ある山中で台湾の山を選んだ理由は“彼女がインスタで綺麗な山を見つけてきたから”
なんでも、「よこしまなふたり」さんという山系インスタグラマーの方が、五月に方訪れているのを見て、行きたくなって報告してきた。
台湾の山に行きたい!
隙があれば海外を放浪しまくり人間が、彼女にこれを言われて断るわけがあるだろうか。
いや、ない
南湖大山とは
南湖大山(ナンフーターシャン)とは台湾の太魯閣国家国立公園(ざっくり言えば台湾の北の方)に属する、標高3742mの山で、主峰、北峰、南峰、東峰を有する。
一般的な登山感覚では二泊以上を必要とし、今回は三泊四日の工程で山頂を目指した。
ちなみに日本人に人気の台湾の山は、玉山という台湾最高峰の山で標高は4000mを超えるが、個人的に人が多い山は好みではないので今回は除外した。
また、台湾にも日本百名山と同じく「台湾百山」という、おすすめの100座があって、出会った人に中にはこれの制覇を目標に山を駆け上っている人もいた。
南湖大山の魅力
著者が南米やヨーロッパアルプスを眺め、登った経験があることを前提としての意見だが、比較的日本アルプスに近い
岩肌や植生は日本のそれと近しく感じた。
今後お見せする写真からも日本アルプスに近いことは感じて貰えると思う。
会えて違いを述べるのであれば、森林限界がかなり高い。樹林帯を歩かなかったのは、山頂(3800m前後)のみで、常に木に囲まれて歩いていた。
この縦走の拠点となる南湖山荘は、南湖山郡に囲まれており、晴れていれば常に綺麗な景色を楽しめるかと思う。
おすすめの時期
赤道近くにある国であるため、夏に雨季が存在する。夏は天候が崩れやすい。
よって気候が安定している春秋がおすすめ。
海外で縦走は、期間も取られるため社会人が長期休暇を考えると厳しい時期になるが、いい天候を引き当てる確率を上げたいのであれば、何とか休みを取得するしかないだろう。
また、台湾は真冬でもほぼ雪は降らず、下界ではおおよそ15度までしか下がらないらしい。
1月の南湖大山の写真を見せていただいたが、雪などなく、湖が青く綺麗に映っていた。
年末年始の休みを使って訪れるのもいいかもしれない。
パーミッション
台湾の山に登るにはパーミッション(登山許可)の申請が必要となる
また、申請は山そのものと警察の二箇所に申請が必要となる。
↑山そのものへの入山許可申請ページ
↑警察への申請ページ
申請はいずれも下記サイトを参考に行うことで問題なく申請が完了する。
山と道のサイトが画像付きで最も参考になった
このパーミッションは、入山日30日前までに承認を通過する必要があるため、思いつきで突然入山することはできない。
かつ、人数制限があるため台湾の山行を決めたら、早めに取得することをオススメする。
山で出会った方々の話を聞いて察するに、おそらく日帰りであればパーミッションは不要なんじゃないかと感じたが…
ルート選び(南湖山域)
今回選んだ南湖郡の山域に限った話をさせて頂く。
この山域の基本は、
「南湖山荘を拠点として、周辺の山々を巡る」
ことになる。
南湖山荘は標高3000mの山々に囲まれた谷間に位置し、ここを中心に魅力的な山が数多く点在する。
時間が取れれば取れるだけ、ここに延泊して周辺の山を巡ることを勧められた。
なお、台湾人は健脚が多いらしく、ご年配の方以外はほぼ、勝光登山口から南湖山荘まで20kmの距離を一日で来ている人が多いように感じた。
ただし、後述するが、車がない場合登山口までのバスの始発到着時間は10時頃なのでリスクを伴うものになると思われる。
南湖大山主峰・東峰
主峰は南湖山荘から3km程の場所に位置する。
主峰に行ってから追加で1km距離が伸びるが、稜線ルートを選ぶと東峰に行くことが出来る。
著者らはこのコースを3泊4日(4日目は9時下山)で遂行した。よほど体力に自信があるわけでなければ、主峰・東峰のコースはおすすめだ。
中央尖山
この山は、簡単に言えば台湾版槍ヶ岳。
最もおすすめとして多くの記事で紹介されているのは、思源登山口-南湖山荘-南湖大山-中央尖山-多加山のルートになるが、最低4泊5日は必要になるかつ、南湖大山から足を伸ばすのは下図からもわかる通りかなりの高低差を要する
また、帰りは同じルートをピストンせず、尖山-多加山の周回ルートがあるが、このルートには渡渉を伴うようで、8月に山でこのルートをめざした人は、腰まで川に浸かっての渡渉を経て山頂を目指したが、難易度が高く断念したらしい。
雨季ゆえだと思われるが、上記リスクも考慮すること。
南湖大山南峰・巴巴山
南湖大山主峰ルートから、もう一日南湖山荘に延泊し、足を伸ばす時間がある方におすすめ。
ちょうど南湖山荘を拠点に一日で往復できるこの二座は、「中央尖山に行くのはキツく、時間が足りないが、程よく楽しみたい」方におすすめ
実際南湖山荘であった方で巴巴山を目指す方は多かった
中央尖山-死亡稜線
勝光登山口から、南湖大山-中央尖山までいき、勝光に戻らずそのまま北を目指すアルパインルート
台湾の有名な超難関ルートのひとつらしい。
中央尖山から北を目指すと、死亡稜線を通る必要があるのだが、口頭で聞いた限りでは、アルパイン装備は必須
挑戦された方に置かれましては、是非備忘録を読ませていただきたい。
登山口
南湖大山は勝光登山口もしくは、思源登山口から入山することが出来る
↑勝光登山口
↑思源登山口
思源登山口はクラシックルートで古くから馴染まれている道。
悪く言えば、あまり整備されていない。
特別景色がいい訳でも無く、8月は棘付きの野草が生い茂っていたので、大人しく勝光を選択することを勧める
持ち物
特別必須な持ち物は無いが、時期により水が確保できない時があるらしい。他の方の記録によると、五月は南湖山荘にて、水の確保ができなかったらしい。
水を確保できないケースをかんがみて、浄水器の持参を勧める。
登山口までのアクセス
台北の桃園国際空港からアクセスする方が多いと思うので、空港からのアクセスを説明する。
なお、先述した勝光登山口と思源登山口は同じバスで降り場が10分違う程度の違い。
- 空港-台北:高速鉄道(鈍行も可)
- 台北-高蘭:特急(鈍行も可)
- 宜蘭-登山口:バス
空港-台北
主にバスと鈍行、MRT(高速鉄道)の3つの選択肢があるが、著者のおすすめはMRT
空港の地下直通で鉄道があり、かつチケットを英語対応の窓口で購入可能(日本語も可能)
また、高速鉄道と聞いて特別料金を想像した方が多いと思うが、鈍行と同じ値段(160元)で乗車可能。
また、本数も15分に一本出ているため、時間に困ることもない。
↑参考
台北-高蘭
登山口行きのバスは宜蘭から出ている。
そのため高蘭まで行く必要があるが、鈍行と特急の二択がある。
オススメは特急。
なぜなら鈍行160元に対し、特急250元と、値段は90元(約360円)と、日本では考えられない破格にも関わらず、時間は半分の一時間に短縮することが出来る。
ただし、人が混みやすい時期は予約が取りづらいらしく、著者はちょうどいい時間に空き席を見つけることが出来ず、行き帰りともに鈍行を利用した。
事前に電車を予約し、時間に縛られて行動するのは難しいので、多少時間に余裕を持ち、特急の席が取れなければ諦めて鈍行がいいかと思う。
座席をとる方法だが、窓口でも問題なく購入可能だが、券売機に日本語の選択肢があるため、言語に不安があり、窓口購入が不安な方は券売機を勧める。
時刻表アプリ
時刻表はこのアプリからが調べやすい。
宜蘭-登山口
行き
登山口まではバスの一択。
↑バス乗り場
このバス停から出ている、「1751」番梨山行きに乗る必要がある。
この路線は7:30発と12:40発の1日2本しかないため、乗り遅れには要注意。山に行くのであれば、7:30に乗ることはマストであるため、前日は宜蘭に宿泊するのはマストである。
また、思源登山口の最寄りは思源派出所となるが、このバス停は1つ前の思源と300mしか離れていないため、1つ前の派出所で降りることを勧める
帰り
帰りも同様に1日2本しかないため、乗り遅れには注意。
バス発車時間よりも早めに下山することを勧める。
※下山口の勝光には売店は愚か、トイレひとつないのは気がかりではあるが…
時間の把握は、Googleが最適だった。
Googleマップから、乗車のバス停を調べると、そこを通るバスの時間が表示されるので、それを参考に動くといい。
また、ここのバス停は「1761」番という、羅東行きのバスも出ている。
行きに宜蘭の宿に宿泊し、そこに荷物を置いてくるなどの理由で宜蘭に戻るしかない方は乗り間違えに要注意だ。
山用品店
山にテン泊装備で行くにあたり、ガス缶は必須装備であり、かつガス缶を飛行機に持ち込みができない以上現地でのガス缶の購入はマストになる。
また、山の地図も入手が必要である。
※今回の山域に限って言えば、ヤマップでも無料ダウンロード可能だが、タイムコースや危険箇所などの記載は一切ないので、紙地図の入手を勧める
また、現地について忘れ物に気づく場合もあるだろう。
購入は台北駅東口を出てすぐの「山用品店街」一択である。
このお店では、日本語をしゃべれる店員さんが居るので購入に困ることは無い。
ドライフードなども手に入るが、基本的に日本製で、価格は日本よりも高いので、基本的には日本で食糧まで準備を済ませて現地に向かう方が良い。
また、著者が調べた限り、宜蘭にはアウトドア用品店は一切ない
必ず忘れずに台北で購入してから宜蘭に向かうこと
※参考
飛行機を使いまくって海外旅をしまくっている著者の経験上、このガス缶を売っているお店を事前情報なしで購入するのは至難の業である。
大都市にいても、平気で丸一日お店を回り続ける羽目になることもしばしば
※アウトドア用品店と調べてもまぁヒットしないかつ、簡単なウェアしか販売していない店にたどり着くことが多い。
下山後の温泉
下山後と言えば温泉は、日本で山を昇っている98%の方々の必須事項であることは言うまでもないと思うが、3000m峰が多々ある台湾には温泉が存在する。
かつ、下山後もどる宜蘭の町から2駅で礁渓という街があるが、ここは台北付近の観光地おすすめ!としてあまたのサイトで紹介されている温泉地である。
著者は台北に戻り宿でシャワーを浴びたため観光することは出来なかったが、調べると有名な日帰り温泉も存在した。
下山後の温泉から、台湾フードを堪能してはいかがだろうか。
SIMカード
台湾での通信手段だが、ポケットWiFiを持って荷物を増やすのは、山登りにおいては避けたい。
(個人的には、SIMフリースマホが台頭してきた今、ポケットWiFiを借りて海外に持っていく時代は終わりを告げてきたのかなぁと思っている)
スマホをSIMフリーにし、海外に行く時は現地のSIMを購入するという選択肢を取るのであれば、「中華電信」というキャリアが台湾で最も繋がりやすいらしい。
このSiMは桃園空港の到着口すぐのところで契約することが出来る。
↑空港での購入方法
現地での時間浪費を最小限に抑えたい方は、事前にAmazonで購入し、日本で受け取るという選択肢もある。
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↑事前に購入可能
終わりに
日本人にとってポピュラーな山では無いこともあり、特にバスの時刻表など、ネットの海をさまよっても出てこない情報も記載させていただいた。
興味を持ってくれた方の参考になると嬉しい
実際の著者が南湖大山を登った経験を語りながら、アクセスと山の記録を数回に分けて紹介している。
ぜひ参考にしてほしい