3月にネパール、ヒマラヤ山脈の一部アンナプルナ連邦の外回りを一周するアンナプルナサーキットを自転車で一周してきました。
今回はアンナプルナサーキットの紹介と、装備や路面状況、環境等自転車で走るための知識を共有していきたいと思います。

アンナプルナサーキットとは
アンナプルナサーキットはインドの北側・東南アジアの西に属する国ネパールにあります

知らない人はいないであろう8848m世界最高峰エベレストを有する山岳大国です。
国土の実に15%以上が標高4000m以上にあります。世界に14座しか存在しない8000m峰のうち、8座がこのネパールという小さな国にあるだけでもいかに標高の高い国かお判りいただけたかと思います
そのネパールの首都カトマンズから西に200km。ヒマラヤ山脈の一部アンナプルナ連邦の外回りを一周するコースがアンナプルナサーキットです

黄色い線で囲まれているのがアンナプルナサーキット。一周450kmほど
アンナプルナというのは一つの山ではなく、Ⅰ~Ⅳの4つの峰をもちます。

サーキットの東側最大の町manangでは3700mの街でそこよりはるかに高いアンナプルナ連邦の多くを見渡すことができます

ここを一周するだけでアンナプルナ連邦だけでなく、外側を見渡せば8000m峰のマナスルとダウラギリの二峰を眺めることもできる、山岳ファンにはたまらないコースとなっています。

一番のゴールは最大標高5416mトロンパス(thorong la pass)
標高5000m越えは多くの皆さんにとって未知であり、実際かなりきつかったですが、そこに登頂した時の達成感は格別です

というか、実際死にかけた

期間
ツーリングにかかる期間
アンナプルナの魅力を語った次は一周するのにかかる期間を説明します。
このサーキットを自転車で一周するならば、アクシデントも考えるとサーキットのみで少なくとも15日は確保するべきです。
僕は12日で一周しましたが、正直かなりきつかったです。
というのも、サーキット最低標高と最高標高との差は実に5000m以上あります。その距離をたった200kmの間で登りきらなければならない。おまけに標高3700mから上はただの登山道。30kmしか進んでいないのに獲得標高(垂直方向に登った総距離)が4700mを超える日もありました。
これがいかにえげつないことか、ある程度の自転車乗りなら容易におわかりいただけるかと思います。
また、サーキットの出発点山岳都市ポカラや首都カトマンズは自然、文化が独自で観光だけでも魅力的な街です。
日本にを出国、帰国するまでの期間は最低三週間。余裕があれば一ヵ月を勧めます
時間がない方向け
社会人で時間の確保が難しい方には二つの代替案を提示します。

一つは
輪行を駆使しておいしいところだけ走る
図の赤線の部分計200kmほどです
多くのトレッカーはサーキット東側のjagatまでランクルで移動し、そこからサーキット西側のjomsonまで歩き、そこからバスに乗って帰る人も多いようです。
自転車をランクルに乗せられるか、詳しいランクルの運行状況は実際使っていないので分かりませんが、生活必需物資はランクルで運んでいたので頼めば行けると思います。
もう一つは
Jomson街道のみ走る
です。
アンナプルナサーキットの西側はバイクを含めツーリングの聖地です。
アンナプルナⅠやダウラギリを一望したり、温泉に入ることもできます。未舗装路で自転車を担ぎたくない人はこれがおすすめです。

一周した僕のおすすめは輪行してでもトロンパスへ行くべきだと思います。景色が段違いです。自転車を担げない人は、担げるだけのトレーニングをしてから望むことを勧めます。
トレッカー
おまけ程度ですが、自転車に乗らない人にもおすすめのルートを紹介します。
アンナプルナサーキットをすべて一周するのは1ケ月かかります。先ほど話したランクルを駆使したルートでも15日は見積もった方がいいです。
サーキットがきついのであればアンナプルナ内院を目指すABCトレッキングというものがあります。これはルートによっては一週間ほどで帰れたはずです。
詳細は調べていただけると幸いです。
※この章の内容はあくまで旅中に人から聞いて得た情報のみです。詳しくはご自分で調べていただければ幸いです
時期
ツーリングの時期も重要です。
まずネパールは一般的に6月-9月は雨期です。
さらにネパールのスコールはすさまじく、僕も一度だけあいましたがとても進めるようなものではありません。ばかでかい雹も降ってきます。
そもそも景色が見えなかったらただしんどいだけなので、休暇が取りやすくてもお盆シーズンは外すことをお勧めします。

さらに容易にわかるかと思いますが、北半球なので11-2月は雪が降ります。
登山道が埋まり難易度が上がるのは言うまでもないでしょう。
また、僕の行った3月はまだ雪が残っていて2番目に人気のシーズンで、一般的に登山道に雪がない場合が多いらしいですが、嵐が来て雪が積もったら自転車を担いで行くのは非常に難しいです

また、僕より先に日本人でこのサーキットを一周した先人の情報によると5月も雨が多いらしいです。
よってツーリングのおすすめシーズンは10月・4月です。
必要資金
現地の物価は非常に安いです。
ネパールの物価は₨(ルピー)といって₨1=¥1。
計算する必要がないのは非常にありがたいです。
生活に必要な資金はカトマンズであればドミトリーならば一泊500円,贅沢しなければ一食₨300あれば生活できます。1日1500円を目安にしておくと困ることはないと思います。
(僕は現地の人と人脈を作ったり、ローカルなレストランに通えば1日700円でも過ごせました)
ただし、山岳地帯は話が別です。
日本と同じですが、標高が上がれば上がるほど物価は上がります。一番定番のランチダルバートでさえ標高5000近くでは₨700前後になります。
非常の事体や、疲れて贅沢に食べたい夜も多いです
さらに標高1000を超えればATMなんてものは当然存在しません。
多くのブログに山でも1日¥1500と書いてありますが、僕はそれで苦しい思いをしたので¥2500/日を勧めます。
道状況

この図の通りです。
- ポカラを出発して100kmは舗装路
- 標高1200-3700は未舗装路(車が迂回できるほどの幅はある)
- 標高3700-5416は登山道(自転車担ぎ上げ必須)
西半分のくだりの気持ちよさは最高です。特にmuktinath-jomsonの下りはアンナプルナ連邦を眺めながらきれいな舗装路で1000m以上のダウンヒルです。
前日までの担ぎ上げのつらさに比べれば天国のようにさえ感じます。


冠雪期でなければ、トロンパスからmukuthinathの下りは絶好のダウンヒルコースらしいです。(ツーリングツアーも存在するほどなので間違いないと思う)
また、標高が低くても登りはえげつないので油断してかかってはいけません

反時計回りのルートのみの説明をしていますが、時計回りはおすすめできません。
mukutinathからトロンパスの登りの斜度がきついからです
ツーリング装備
装備はとにかく必要最低限にすること!
自分のキャパ以上に重いと担ぎ上げたとき冗談抜きで死にます(少なくとも冬季は)

僕は海外を走るのは絶対にそらと決めているが、自転車も軽量なMTBもしくはグラベルバイクを勧めます。
担いだ時の労力が段違いだからです。
ちなみにそらは15kgありへたなママチャリよりも重いので絶対におすすめしません(笑)
タイヤはブロックの太いものが好ましいです。
路面は車が通る割にはかなり劣悪な場所が多い。ちなみに僕は26×2.10でいきましたが、未舗装路では大きく困りはしませんでした

個人的にキャリア(荷台)が装備できるとなおよいです
バイクパッキングでも行けるが、担ぎ上げは荷重が拡散している方がはるかに楽です。
また、バックパックを背負うスタイルも腰を痛めるので担ぎ上げる必要がないときは極力自転車に積載できた方がいいです
今回の僕の装備
- フロントバック
- フォークバック
- バックパック
の3点装備は背負うときにはフォークバックもバックパックに固定できるし我ながらベストだったと思います。
持ち物
持ち物も必要最低限がいいです。しかし多くなってしまったが、冬季の場合より装備に不足があるわけにはいかないので必要なものは必ず忘れないようにしてください。
必需品
- 寝袋(冬は-10℃対応の#0を勧める)
- 薬セット(整腸剤・高山病予防薬)
- エチケットセット(歯ブラシ等)
- 電子機器充電セット
- 自転車リペアセット
- 雨具(上下)
- ダウン
- 冬用防水グローブ
- サイクルグローブ
- ネックウォーマー(冬用Buffおすすめ)
- 日焼け止め
- サングラス
- リップクリーム
- シャンプーセット
- 服あらう洗剤(粉末タイプが軽くておすすめ)
- サーマレストポット
宿には掛布団1枚しかなく、季節問わず5000m前後は非常に寒い(僕は-20℃まで冷え込んだ) 必ず寝袋は持っていくこと。ダウンも同様です
日焼け止め・サングラス・リップクリームの日焼け対策は必須です。標高5000mで一面雪の時、白の反射ですさまじい速さで日焼けします。裸眼では目を開けるのもつらいです。リップクリームも怠ると、下界に降りてから食事に苦労するほど唇の川がむけてしまうのでかならず持っていくこと。
また、食材を買う場所などなく、レストランも安めなので調理道具は一切いらないです。ただし、ポットをもっていくと暖かい飲み物をそこに入れて作ってくれて、歩きながらでもおいしいドリングを飲めるのでお勧めです

充電セットはモバイルバッテリーも必要15000×2が僕は使用がってが最も良いと思います。充電のプラグは日本のものでもはいるが、現地のほうが刺さりよいです。コンセントの位置がほとんどの場合高いので延長コードもあるとよいです
薬は日本人のおなかは基本的の世界的にみても弱いので整腸剤は必須です。僕も腹を下したのに薬が足りなくて非常に苦労しました。
また、高山病予防薬はおもに日本ではダイアモックスが主流ですが、医者の処方箋が必要なので高くつきます。効きの良さに目をつぶれるのであればカトマンズの薬局ではるかに安い値段で買えます。
冬季は当然ですが雪山装備が必須です
- アイゼン(軽アイゼンで十分)
- スパッツ
スパッツは冬季でも持っていない人は多いですが、自転車をもっていくとラッセルする必要があるので必須です。最悪ポカラで買ったり借りることもできます
ウェア
- Tシャツ×2
- 短パン×2
- 長ズボン×1
- ウインドブレーカー
- アンダーウェア(上×2・下×1)
- 靴下×2
- 下着×3
洗おうと思えば毎日洗濯できるので最小限でよいです。冬季はフリースもあるとかなり便利です。
あとは温泉が多いので水着があるとよいです。(海外の温泉は水着必須)。なおネパールは男女問わずパンツやTシャツでもはいれます
あとは持っていく人はカメラ装備。三脚は非常に役立ちました
最後に
いかがだったでしょうか。
これさえ読めばアンナプルナツーリングは完璧にできるよう、もてる知識は全て書きました。何か疑問があったらコメント欄やSNSから気軽に質問してください。
最後に、一番重要なことをお伝えします
準備を怠るな。自分の力を過信するな
5000mを超える山へ自転車をもっていくなんて、正直普通の人がやることではないです。バックパックのみとは難易度が全然跳ね上がります。
こばたくが行けたからいけるやろ~。12日で行けるやろ~
と舐めた計画をしてはいけません。不測の事態に対応できるよう準備は入念に行ってください
なんのトレーニングもせず現地に向かうのも自殺行為です。日本で山を自転車で走るとはどのようなものか知り、十分に鍛えてから望んでください。

旅は自己責任です
十分に踏まえたうえで海外ツーリングライフを楽しむ手伝いが出来ましたら光栄です。