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Yakruka-high camp
【続き】
※ここからの写真で設定をみすって暗くなってしまいました。ご了承ください
この左側の崖から何度も落ちそうになる
途中谷の左側に渡るための吊り橋。何度も歩くと下が丸見えのスリルにハマってきた。
ネパールに来てからとんでもないイカレ野郎に進化している
後ろに見えるのはアンナプルナⅡか
谷の左側になると今度は自転車を落としそうになる。落とさないよう気をつけて運ぶ。
足を踏み外したら谷底まで一気に落下しそうな斜面にヤックーたちが。
こいつらの逞しいことよ
休憩をしていると7歳の女の子に出会った。
いかにも厳しく、逞しそうなお母さんと2人で昇っているらしい。
疲れてる?と聞くと、よゆー。と返された。なんてことだ
その後残ったフランス人と話していると、ハイキャンプではみんな寝れないって聞くからここの方がいいよーといわれた。
昨日すらまともに寝れなかったし確かにそうなのだが、今日ここで止まってしまうと明日ムクティナートにたどり着けないかもしれないので、無視して出発することにした。
とは言ったもののここからが本当の地獄だった。斜度は信じられないほど上がる
自転車を持ち上げて移動するのはもはやベンチプレスのようなもの。しかも移動出来る距離は頑張って30mほど。
標高5000m弱で無酸素運動のベンチプレスを何十回何百回とひたすら繰返す。即激しく息切れしてかなりの休憩時間を設けないとろくに動けやしない
この30°はあるであろう雪斜面を
何度も
自撮りも一苦労だ。いつもなら移動してから跨ってペダルをふむだけでいいものの、走った後20kgの鉄塊を持ち上げるのだから。
10秒以内に間に合わなくてベンチプレスが無駄労力になることもしばしば
ここで誤算が。
標高が高く、多くの山に囲まれているため四時過ぎには当たりが暗くなってきてしまった。日が当たらないだけで一気に気温は氷点下まで下がる。運動していてもアンダー・ダウン・ゴアテックスのフル装備なのでおそらく-10℃以下なのではないだろうか。
そして完全なひぐれの直前である5時半頃なんとかハイキャンプに到着。直前まで姿が見えない上に、一度斜度が落ちたことで1番急な部分を登りきった時ゴールだと勘違いした。暗い中登りきったと思ったらまだ先が見えた時の絶望ったら半端ない
ゴールする時たくさんの鳥が見えた。あとでもう少し大きな写真をお見せする。
宿の入口まで来てぶっ倒れた。
…本当に明日大丈夫か??
この古河でかい鳥。
可愛いハトみたいな鳴き声をしてちょっと首にオレンジ模様があって可愛い。
さらに寒くてモコモコに膨らんでみなで体を集めて温め合う姿もまた可愛い
ここでカメラの設定をみすっていたことに気づく。サングラスをして限界な登山をしていると設定にも気配りする暇がない
日が沈んだのはここだけ。他の山々から徐々に光が無くなっていく
標高4800m
寒さをしのぎみなでたった一つの暖炉を囲み談笑する。
フランスイギリスドイツノルウェー…
本当に色んな国の人が集まり談笑する。とても楽しい。
それにしても、オンリーワンの一人旅の日本人が自転車を持ってきているともなるとみなの興味の的らしい。
僕が話し出すとみなが話を聞いてくれた。
そして誰が言い出したか忘れたが、
”お前はスーパーヒーローだな”
と言われたのを皮切りに、今後ここで共に泊まった人からはスーパーヒーローと呼ばれるようになった。
自ら名乗ることは恥ずかしくとも容易いが、ヒーローとは誰かに認められてはじめてなれる存在だと思う。
…この時僕は本物のヒーローだった。
夕食にはチョウミンを食べ、クタクタのからだで暖炉に当たりながら本を読んでいるとだんだん眠くなってきた。
最近は伊坂幸太郎のオーファザーを読んでいる。新年から忙しくてなかなか読み進められていないが、読んでいて常に先の気になる作品だ。
あと、本は絶対持ってきた方がいい。
みんな読んでるし、時間はかなりあるのに電波はない。
読書が捗る。
そして8時頃体も靴もこれでもかと言うほどポカポカに温まった状態で部屋にGO
部屋にはベッドと布団2枚しかなく、窓からは雪風が入ってくるほど取り付けが悪い。
暖房なんてあるわけがない。
つまりアホみたいに寒い。
急いで高山病、整腸剤、風邪の薬を飲んで薬漬けにして眠る。今晩眠れないのは致命的だ。
持ってくる数を控えて泣き目を見た整腸剤も明日が山場。もうセーブする必要が無い。
案の定ポカポカでよく眠れた
さて、明日は決死のアタックだ